
先日、文部科学省でデジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第10回)が開かれたそうです。

委員を務めている中野さんからこちらに資料が掲載されていると教えてもらいました。

非常に興味深いです。
世間の議論はどうしても
紙かデジタルか
という、2元論で語られてしまうので、この会議の資料を見ても、いろいろな人が懸念するコメントをしています。
一定程度は、大切なことですが、そこで留まっていると進まない。
特に、私の関係する学習に困難がある子どもたちにとっては、多様な学び方を保障してほしいので、紙じゃなけりゃダメみたいな議論にしてほしくない。(もちろんICTじゃなきゃダメも困るけど)
さて、中野さんが協力しているので、視覚に障害のある子どもへの丁寧な検討結果資料もありました。
https://www.mext.go.jp/content/20210423-mxt_kyokasyo01-000014478_2.pdf
これについては、最後のところに
今回の調査においては、学習機会の保障の観点から、各教科書の利用について検証した。今後は、視覚障害のある児童・生徒の学力に対する効果の観点からも検証することが考えられる。
とあるので、今後の展開も期待したいですが、調査のデータとして

という結果を示しています。
引用すると
デジタル教科書等の利用のしやすさは、児童・生徒のセグメントにより違いがあると考えられる。
高学年、特定範囲の視力障害(視力以外の障害はない)、自身が学校内外でICT環境に触れる機会の多い児童・生徒ほど、デジタル教科書等の利用が進んでいる。(これとは逆の属性の児童・生徒では、利用が進んでいない。)作業効率は同等程度であり、デジタル教科書等のメリットについては多数の指摘があり、デメリットの指摘は限定的であることから、視覚障害のある児童・生徒における教科書内容へのアクセスの観点で、デジタル教科書等は紙の拡大教科書と同等以上に有効と考えられる。
また、多くの教員や児童・生徒は、デジタル教科書等により紙の拡大教科書を使用せずとも指導・学習できると考えている。
とあります。
ここでの調査は「視覚障害」としていますので、視覚機能の障害となるので、肢体不自由などの場合は、少し違うでしょう。資料を見ると、肢体不自由との重複のデータはありますが、視覚障害が無くて肢体不自由の場合も、デジタル教科書はとても有効だと私は考えます。
それは、紙の教科書ではページが捲れなかったり、書き込むことが難しかったりする子どもたちがいるからです。
また、現在の社会や理科の教科書は、とてもデザインフルで、資料の中の必要なポイントにフォーカスさせることに,困難さがあります。これらのことは、視覚障害だけでなく、肢体不自由のある子どもやADHDのある子どもなどにとっても非常に扱いが難しい。
今後はそんなことについても議論をいしてもらえるといいと思いますし、デジタル教科書を考える事で、紙の教科書のありようも振り返ってもらえるといいと思いました。
また、他の資料では、教師の指導力向上について、触れています。正直いって、ものだけあっても何もできない。ぜひ、そこを強化するための施策も進めてほしいところです。
特に、特別支援教育において。


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